日本老年医学会雑誌
Print ISSN : 0300-9173
原著
99mTc-ECD SPECT脳血流画像を用いたMild Cognitive Impairment(軽度認知障害)の進行予測
川崎 洋介
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2008 年 45 巻 2 号 p. 202-212

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抄録
目的:Mild cognitive impairment(MCI)は,将来Alzheimer disease(AD)へと進行する可能性のある前駆段階として位置付けされている.今回著者は,MCIの中にはAD-converter(本来の定義どおりのMCI;amnestic MCI(aMCI)),non-converter,および軽症うつ病が存在しているものと考え,MCIの経過をprospectiveに調査し,MCIの進行予測におけるSPECT脳血流画像の有用性を評価することにした.方法:もの忘れを主訴に受診した60歳以上の患者92人を対象とした.まず,対象患者に対し99mTc-ECD SPECT脳血流検査を施行し,初期臨床診断別に画像の解析を行った.次に初期臨床診断でMCIと診断された患者に対し2年経過後に再度診断を行い,2年前に施行した脳血流画像をさらに分類し,解析を行った.結果:対象者のうちMCI 35人は,2年経過後にAD 13人(37.1%;aMCI),non-converter 10人(28.6%),うつ病4人(11.4%;depression type MCI(dMCI)),老年期精神障害1人の臨床診断となり,脱落者は7人いた.脳血流画像所見は,MCIと診断されていた時点においてaMCIでは後帯状回かつ楔前部,dMCIでは前頭前野背外側(DLPFC)かつ背側前帯状回,non-converterでは前脳基底部での相対的血流低下がみられていた.結論:aMCIの脳血流画像は今までの報告を支持した結果であった.またdMCIの脳血流画像は,うつ病と同様の所見がみられ,特にDLPFC,背側前帯状回の血流低下がうつ症状と関連する可能性が考えられた.このように,aMCIの診断において,またうつ病の早期発見という面においても99mTc-ECD SPECT脳血流画像診断は有用なものと考えられた.
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© 2008 一般社団法人 日本老年医学会
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