日本老年医学会雑誌
Print ISSN : 0300-9173
第50回日本老年医学会学術集会記録〈シンポジウムIV:骨粗鬆症と変形性関節症:研究と診療の最前線〉
3. 変形性関節症:研究·診療の現状と問題点
川口 浩
著者情報
ジャーナル フリー

2009 年 46 巻 2 号 p. 121-124

詳細
抄録

変形性関節症(OA)は全身の四肢·脊椎が罹患する疾患で,多くの高齢者の健康寿命を短縮させているにも拘わらず,その分子メカニズムは殆ど解明されておらず,したがって予防·治療法も対症療法の域を出ていない.基本的な疫学指標も確立おらず,もし画期的な予防·治療法が開発されたとしても,それをエビデンスとして評価する方法も基盤となるデータも存在しないのが現状である.OAの分子メカニズムの研究としては基質蛋白分解酵素の発現·活性の制御システムの解明が主流である.我々はマウスジェネティクスの方法を用いて,軟骨内骨化シグナルがこの過程に重要であることを示し,その分子メカニズムについて検討している.診断法としてはMRIを用いた画像診断が進歩を遂げており,軟骨層の定量化のみならず定性的評価も可能になってきている.近い将来に,標的分子の同定,診断法,評価法の確立によって,画期的なOAの予防·治療法が開発されることが期待される.

著者関連情報
© 2009 一般社団法人 日本老年医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top