日本老年医学会雑誌
Print ISSN : 0300-9173
第50回日本老年医学会学術集会記録〈パネルディスカッションIII:療養病床再編の行方〉
4.療養病床の行方∼老人保健施設は今後どうあるべきか∼
川合 秀治
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2009 年 46 巻 2 号 p. 144-145

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抄録

なぜ,療養病床の再編が必要となったのか.その「療養病床」は社会保障制度上,必然であったのか.ならばなぜ療養病床が,わずか10数年前に創設されたものが整理されようとしているのか.疑問符がたくさんある.巷間,言われているように財政上の問題が大きいのか.ならば,制度創設者は行政も立法も朝令暮改の謗りは逃れられない.
さて,老人保健施設はそれまでの高齢障害者への社会保障サービスとしては画期的な"individuality"を基本コンセプトとした施設類型である.この老健はハードとしては施設であるが,そのソフトは未熟·未完成ではあるものの有効な「在宅療養支援」機能を有している.これまでの社会保障サービスは制度が利用者·サービス事業者を規制していた.本来的には利用者が,制度に強度な枠をはめられることなく,サービスを選択できる状態にあるべきと考えるが,老健施設にはその可能性が大いにある.

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© 2009 一般社団法人 日本老年医学会
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