抄録
目的:下腿三頭筋の推定した最大部位の周径(下腿最大周囲長:Maximum Calf Circumference以下,MCC)を用いて,高齢慢性期入院症例のアルブミン(以下,Alb)およびBody Mass Index(以下,BMI)との関係を検討すること.方法:対象は食形態や食事動作の自立度は様々であるが経口での食事摂取が維持されている高齢慢性期入院症例57例(男性26例,女性31例,年齢80.4±9.9歳:平均±標準偏差)である.対象者の体重,身長,BMI,MCC,Albの性差をt検定で比較した.また,MCCと機能的自立度評価法Functional Independence Measure(以下,FIM)運動項目点,FIM認知項目点,FIM合計点との関係をスピアマンの順位相関を用いて検討し,Alb,BMIとの関係をピアソンの相関分析を用いて検討した.さらに性,年齢,FIM合計点で調整したMCCとAlbの偏相関係数も算出した.結果:体重と身長に性差が認められた(p<0.01)が,BMI,MCCおよびAlbに性差は認められなかった.MCCとFIMとの相関係数は運動,認知,合計点の順にr=0.20,r=0.19,r=0.23で有意な相関は認められなかった.MCCとAlbとの間にはr=0.52(p<0.01),BMIとの間にはr=0.90(p<0.01)と有意な相関を認めた.MCCからBMIを推定する回帰式は,BMI=MCC×0.81-2.44となり,寄与率は0.81であった.また,MCCとAlbとの間の偏相関係数はr=0.40(p<0.01)であった.結論:MCCは,高齢慢性期症例のBMIを推定する上で有用な評価ツールとなることが示唆された.また,全身的な栄養状態を反映する可能性があり,さらに検討する価値があると考えられた.