抄録
目的:自動車運転の中止が認知機能低下を有する高齢者の日常的な交通利用に与える影響について,実態を把握することを目的とした.方法:名古屋大学医学部附属病院老年科のもの忘れ外来を利用する101名の高齢者が,自動車運転の状況と交通利用の状況に関する調査に参加した.調査協力者のうち48名(47.5%)が免許保持者,16名(15.8%)が免許失効済者,37名(36.6%)が免許未取得者であった.結果:免許保持者の大多数(77.1%)が現役のドライバーであり,免許保持者は免許未取得者に比べて公共交通機関を利用する割合の低いことが確認された.また,免許失効済者においては,認知症の有無により利用する交通機関に違いが認められ,認知症を有する免許失効済者は認知症のない免許失効済者と比べて,公共交通機関の利用割合の低いことが確認された.考察:医療者が認知機能低下を有するドライバーに運転中止を求める場合には,公共交通機関を代替利用する難しさへの配慮が不可欠と考えられる.