日本老年医学会雑誌
Print ISSN : 0300-9173
原著
回復期リハビリテーション病棟における服薬数減量の取り組み
佐藤 武佐藤 和典佐藤 暁
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2010 年 47 巻 5 号 p. 440-444

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抄録

目的:多疾患を有する高齢者は服薬数も多くなる傾向があり薬物有害作用を予防する上で服薬数の減量や服薬回数の整理が勧められている.一方リハビリテーション(以下リハ)病棟では,複数の内科疾患に対して一人のリハ医が一括対応するため減量の良い機会であり当院リハ病棟でも服薬減量に取り組んできた.今回,当院回復期リハ病棟に入棟した患者の服薬数減量の状況を検証した.方法:2009年1月から12月まで当院回復期リハ病棟に入棟した患者203名のカルテから,入棟時の前医処方状況と引き続いての当院回復期リハ病棟での処方状況を調査した.結果:75歳以上131名(64.5%),体重45 kg未満77名(37.9%).入院時平均服薬数は6.49剤で,退院時は6.02剤.1カ月以内に減量できたのは92名(45.3%).1カ月以降では77名の服薬数が増量され,減量は7名のみ.減量群の経過中に減量薬剤と関係のある有害事象の発生は認めず,降圧剤減量14名の血圧経過は良好であった.結論:入棟早期の減量が勧められ,特に入棟時服薬数が多い場合や整形疾患で有意に減量できた.有害事象がない場合でも2/3量への減量を目安に鎮痛薬や消化器用剤などは整理,減量することが可能だった.

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© 2010 一般社団法人 日本老年医学会
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