日本老年医学会雑誌
Print ISSN : 0300-9173
症例報告
右膿胸及び右横隔膜下膿瘍の経過中に左大腿静脈カテーテルが原因と考えられた左腸腰筋膿瘍を合併した2型糖尿病の1例
伊藤 勇三浦 淳
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2011 年 48 巻 2 号 p. 180-184

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抄録
症例は78歳,男性.糖尿病,認知症にて近医通院中であり,糖尿病は約10年前に指摘され,食事療法と経口血糖降下薬によってHbA1c 6%台の血糖コントロール状態であった.2008年7月3日より発熱出現し,当院救急搬送され入院となった.入院後,右下葉肺炎から右膿胸に移行したが,抗生剤投与及び胸腔ドレナージにより軽快した.10月より再び発熱及び炎症反応の上昇を認め,CT検査にて右横隔膜下膿瘍を認めた.右横隔膜下膿瘍については,抗生剤投与にて軽快した.11月初旬より発熱及び腰痛を認め,CT検査にて左腸腰筋膿瘍を認めた.左腸腰筋膿瘍については,抗生剤単独投与では改善されず,膿瘍の更なる増大を認めた.10月下旬に左大腿静脈から挿入した中心静脈カテーテルからの感染を考慮し,11月下旬,カテーテルを抜去した.その後左腸腰筋膿瘍の急速な縮小を認め,炎症反応も改善し,腰痛も認めなくなり,2009年1月退院となった.高齢者で認知症を認める場合,挿入手技に伴う合併症の少ない大腿静脈からカテーテルを挿入せざるを得ないことも多い.しかし,大腿静脈カテーテル留置は,易感染性であり,発熱の原因となりうることをたえず考慮し,発熱が続く場合は,躊躇せずに早期にカテーテルを抜去することが必要であると考えられた.
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© 2011 一般社団法人 日本老年医学会
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