日本老年医学会雑誌
Print ISSN : 0300-9173
〈パネルディスカッション1:高齢者の心血管系疾患治療の最前線〉
1.CKDとCVD:とくに高齢者のCKDについて
井関 邦敏
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2012 年 49 巻 2 号 p. 185-186

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抄録
慢性腎臓病(chronic kidney disease,CKD)は心血管疾患(cardiovascular disease,CVD)の発症危険因子である.当初の診断基準では糸球体濾過量(glomerular filtration rate,GFR)の低下,60 ml /min/1.73 m2未満,が3カ月以上持続のみでもCKDとしていた.加齢とともにGFRは低下するが正常人では年間低下速度は0.4 ml /min/1.73 m2未満であり,透析を必要とするまでは進行しない.2009年度にCKD分類が見直されアルブミン(蛋白)尿の程度(陰性,微量,中等以上)が追加され,ステージ3が3a(45~59)と3b(30~44)に二分された.健診受診者ではCVD既往,高血圧,DMの合併頻度がGFRの低下および蛋白尿の程度に伴いいずれも段階的に増加する.高齢者では脱水,薬物(とくに造影剤),手術などの侵襲によって急性腎障害(AKI)を起こしやすく,CKDの発症,進展につながる.CKDはCVD以外にも肺炎,敗血症,骨折,認知症との関連が示唆されている.
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© 2012 一般社団法人 日本老年医学会
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