日本老年医学会雑誌
Print ISSN : 0300-9173
原著
認知症ケアマッピング(DCM)における認知症高齢者のQOL指標に影響を及ぼす行動:よい状態とよくない状態(WIB値)と行動カテゴリー(BCC)の関連
鈴木 みずえ水野 裕Brooker Dawn大城 一金森 雅夫
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2012 年 49 巻 3 号 p. 355-366

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抄録
目的:認知症ケアマッピング(Dementia Care Mapping:DCM)は,パーソン・センタード・ケアの理念の実践を目指した認知症高齢者ケアの質の向上のための観察評価手法である.本研究の目的は施設別にWIB値に影響を及ぼす行動カテゴリーコード(BCC)を明らかにすることである.方法:平成17年4月1日~平成19年7月28日に調査施設を利用,あるいは入所・入院し,文書で研究参加の承諾を得られた認知症高齢者を研究対象者とした.対象者にはMini-Mental State Examination(MMSE),Gottfries-Brane-Steen Scale(GBS)などの機能評価とDCM法を用いて1日6時間の観察を行った.結果:研究の承諾が得られて認知症と診断されたのは256名(男性50名,女性206名)であった.MMSEの全体の平均値は10.83(±8.58)であったが,施設別では通所サービスが最も高く17.14(±6.38),次いでグループホームの16.56(±6.83)であり,最も低いのは老人保健施設(重度認知症病棟)であった.DCMのWIB値で最も高いのはグループホームの1.87(±0.63)であり,最も低かったのは特別養護老人ホームの0.84(±0.56)であった.各施設別のWIB値を目的とした重回帰分析では,年齢,性別,認知症の種類,GBSをコントロールしてもL(仕事),E(創造的活動),H(手芸)に関連した行動はWIB値を有意に促進し,B(受身の交流),C(閉じこもり),U(一方的な交流)がWIB値を有意に抑制していた.結論:グループホームではL(仕事),特別養護老人ホームや療養型病床群ではE(創造的活動),H(手芸)などの活動に関連してWIB値を促進していたことが明らかになった.一方ではB(受身の交流),C(閉じこもり),U(一方的な交流)などがWIB値を抑制しており,介護保険施設における体制の課題などが影響していた可能性も高い.今後の認知症ケアの質を高めるためにこれらの状態を踏まえて十分検討する必要がある.
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© 2012 一般社団法人 日本老年医学会
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