2017 年 54 巻 1 号 p. 10-17
超高齢社会を迎え高齢者が人生の最期まで「健康」で「生きがい」を持ち続けることができる「健康長寿社会」の構築が急務である.特に,予防医療体制の整備は医療費削減の見地から早急におこなわなければならず,その中でも運動処方は予防医療の最後の切り札として期待されている.筆者は,過去20年間,松本市を中心に中高年者の運動教室「熟年体育大学」事業に参画してきたが,この事業は,最近,科学的エビデンスに基づく運動処方として,国の内外から注目を集めるまでになった.本稿では,この事業の歴史と将来展望について述べる.老年医学を専門とされる読者の皆さんの参考になれば幸いである.