2020 年 57 巻 2 号 p. 142-148
高齢者救急システムは,地域包括ケアシステムのセーフティネットとして重要な役割を持つ.近年,全国の救急出動件数の中で65歳以上の搬送割合は約60%に達し,地域における高齢者救急システムの構築が急務となっている.しかし地域により高齢化の進展度,地域区分,医療・介護資源の状況,医療機関が担う地域,消防署の管轄の範囲,行政の担う範囲に違いがあり,システムの内容もそれぞれ異なってくる.高齢者救急システムの構築方法として出来るだけ多くの関連機関の参加による「地域マネジメント」を行うことは解決策の一つとして有用と思われる.