日本老年医学会雑誌
Print ISSN : 0300-9173
原著
高齢者の自動車運転に関する本人および家族への意識調査
永井 久美子玉田 真美輪千 安希子小林 義雄神﨑 恒一
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ジャーナル 認証あり

2025 年 62 巻 2 号 p. 241-249

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抄録

目的:高齢運転者とその家族とで,自動車運転への考え方が異なることが多い.今回我々は,高齢運転者と家族との間でどのような点に相違がみられるのか,乖離がなにを意味するのかについて検討した.方法:高齢運転患者とその家族,計96組を対象にした.高齢運転者の自動車運転の様子を問う質問紙を作成し,本人および家族にそれぞれ回答してもらった.その後各質問に対する両者の回答状況の相違について検討した.結果:以下のような質問に対して本人と家族との間で回答率が有意に異なっていた:「車の操作が遅くなった」(高齢運転者21.5% vs 家族42.3%),「最近怒りっぽくなったように思う」(17.2% vs 33.3%),「車のキーや免許証を探しまわる」(15.1% vs 35.1%),「ウィンカーを出し忘れていたことがある」(4.4% vs 16.9%),「最近車体をこすることが増えた」(3.2% vs 20.3%),「運転は今のところ大丈夫だと思う」(95.7% vs 63.3%).また本人と家族との間で回答に相違がみられた項目数は一人あたり6.1±4.1個であり,7個以上相違がみられた群では6個以下の群より高率に過去3年以内に事故を起こしていた(25.8% vs 4.3%,p<0.01).結論:高齢運転者の現状について,本人と家族との間で認識が異なっていた.また両者の認識の乖離が大きい群では高率に3年以内の事故歴があった.運転免許返納に関する話し合いの場では,このような意識の乖離があることを理解して進めることが大切である.

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