日本老年医学会雑誌
Print ISSN : 0300-9173
原著
歩行補助具が必要となる要介護高齢者の身体的特徴:2年間の縦断研究
坂野 裕也村田 伸中野 英樹
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ジャーナル 認証あり

2025 年 62 巻 2 号 p. 233-240

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抄録

目的:本研究の目的は,独歩で生活している要介護高齢者のうち,2年後に歩行補助具が必要となった対象者の特徴を明らかにし,歩行補助具使用の影響因子を検証することである.

方法:対象は,歩行補助具は使用していない要介護高齢者179名であり,Functional Independence Measureの運動に関する13項目,10 m歩行時間,握力,片脚立位時間,膝伸展筋力,虚弱高齢者用10秒椅子立ち上がりテストを測定した.2年後に歩行補助具を使用していた要歩行補助具群と,使用していなかった独歩群の2群に分け,ベースライン時の身体機能を比較した.2群間に有意差を認めた項目を独立変数,歩行補助具使用の有無を従属変数としたロジスティック回帰分析を行った.さらに,歩行補助具が必要となるまでの期間を分析するため,ロジスティック回帰分析で有意であった項目は,Kaplan-Meier法を用いて,新規の歩行補助具使用者の発生率曲線を作成した.

結果:要歩行補助具群では,10 m歩行時間,片脚立位時間,膝伸展筋力,虚弱高齢者用10秒椅子立ち上がりテストが,独歩群と比較して有意に低値を示した.ロジスティックス回帰分析の結果,歩行補助具使用の有無に影響を与える因子として膝伸展筋力のみが抽出された.さらに,膝伸展筋力維持群と膝伸展筋力低値群の2群に分けて分析した結果,下肢筋力低下群では下肢筋力維持群よりも有意に早期から歩行補助具を使用していた.

結論:歩行補助具使用の影響因子は膝伸展筋力であり,膝伸展筋力低下の有無が将来の歩行補助具使用の必要性を予測する指標として有用であることが示唆された.

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© 2025 一般社団法人 日本老年医学会
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