日本老年医学会雑誌
Print ISSN : 0300-9173
Nitroblue Tetrazolium (NBT) 染色による新しいリポ蛋白電気泳動法に関する研究
北川 道弘沢木 春二服部 健蔵斉藤 征夫
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1975 年 12 巻 5 号 p. 315-320

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抄録
Nitroblue Tetrazolium (NBT) による新しいリポ蛋白電気泳動法につき検討した. NBTは従来のリポ蛋白染色剤が有機溶媒にて溶解されるのに対し, 水溶性であるという大きな特徴を有した色素である その染色原理はNBTにNADHおよびPMSを加えることにより還元性のNBT formasan を生成せしめ, これがリポ蛋白を染色するとされている 本染色法にて prestaining した試料を Cellogel または Agarose Gel にて泳動し, 次の結果を得た.
1) 本染色法は簡便にリポ蛋白を染色することが出来、好脂染色の1つである Fat Red 7B染色と同様のバターンを得ることが出来る.
2) 本染色による pre-βの移動度は Fat Red 7 BまたはOZONE化 Schiff 法による後染色に比し常に早い.
3) 免疫電気泳動または Laurell 法にて, 本色素で染色された物質が抗αおよび抗βリポ蛋白抗体と特異的に反応することを確めた.
4) NBT類似の Tetrazolium 色素5種のうち Neotetrazolium にのみ, リポ蛋白染色能を認めた.
以上の結果から本法は今後リポ蛋白代謝を研究するにさいし. 有力な武器となり得る可能性がある
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