日本老年医学会雑誌
Print ISSN : 0300-9173
老年者高血圧の臨床的研究
Furosemide 負荷試験の血漿レニン活性に及ぼす影響
桑島 巌上田 慶二山田 英夫上田 真智子村上 元孝海老原 昭夫
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1976 年 13 巻 3 号 p. 193-197

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抄録

著者らは, 若年者正常血圧者6例 (I群) を対照とし, 老年者正常血圧者14例 (II群), 老年者高血圧者31例 (III群) 計51例に対し, Furosemide 0.5mg/kg静注法によりレニン遊出試験を行ない, 各群における負荷前後のレニン活性 (以下PRAと略す) を比較検討した. また Furosemide による利尿効果の検討のために若年者6例, 老年者21例に対し, Furosemide 注入前後各々4時間の尿量を比較検討した.
1) Furosemide 投与前PRA値はI群: 1.49±0.97ng/ml/hr(M±SE), II群1.07±0.23III群1.10±0.85と3群間に有意差は認められなかった. Furosemide 負荷20分後におけるPRA値ではI群: 6.76±1.1 II群1.46±0.31III群1.43±0.97であり, I群はII, III群に比して有意の高値を示した (p>0.05). また負荷前後のPRA値の比較ではI群では Furosemide 負荷により有意の上昇 (p<0.05) を示したがII, III群ではともに有意の上昇は認められなかった.
2) 若年者および老年者における Furosemide 負荷前後の尿量の比較では若年者負荷前150.6±5.4ml/4時間(M±SE), 同負荷後1155.3±114.5老年者負荷前269.0±36.0同負荷後770.0±80.0と若年者負荷後4時間尿は老年者のそれに比し有意の増加を示した (p>0.05).
以上の成績より次の結果を得た.
1) Furosemide 負荷前PRA値は若年者正常血圧者, 老年者正常血圧者および老年者高血圧者の3群間に有意の差が認められなかった.
2) Furosemide 負荷後PRA値では若年者群は老年者正常血圧者, 老年者高血圧者に比し有意の高値を示し, Furosemide 負荷に対する反応が大であった.
3) 若年者は老年者に比し Furosemide に対する利尿効果が大であり, レニン遊出刺激としての効果も両群間で異なるものと思われる.

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