抄録
断面調査によって得られた血圧値から, 年齢と血圧との関係を推定した. 対象は15歳から84歳に及ぶ男子5,141名, 女子5,069名, 計10,210名である. これを性別, 年齢別 (5歳間隔) に分け, 名群の血圧値の有意差を検定した. 収縮期血圧は, 男子では20歳代前半より女子ではこれより稍ゝおくれて上昇し, 老年に至っても尚上昇が認められるが同時に分散も大となった. 拡張期血圧は男子では20歳代前半より女子では30歳代前半より上昇するが, 共に50歳代後半で最高となりその後は有意な変化はみられなかった. 脈圧は男子にのみ20歳代に減少する傾向があり, 男子では50歳代後半より女子では40歳代後半より老年期にかけて増加した. 平均血圧の上昇は, 男子は20歳代から60歳代前半まで, 女子では30歳代前半から60歳代後半までに認められた. 各年齢群において収縮期血圧と拡張期血圧との関係をみると, 相関係数はほぼ0.5以上であった. 拡張期血圧に対する収縮期血圧の関係を一次の回帰式で表わして各年齢群の回帰係数を比較した. 男子では15歳から29歳の間は勾配がやや大きいが, 30歳代からやや減少して54歳までほぼ一定の値をとり, 55歳以降では加齢に平行して漸次勾配が大となった. 女子では15歳から49歳までの勾配は一定しているが, 50歳以後は加齢にともなってその増大がみられた.