日本老年医学会雑誌
Print ISSN : 0300-9173
一元放射状免疫拡散法 (SRID) によるアポ蛋白A-I, A-II測定法の検討
宮原 忠夫村井 淳志亀山 正邦
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1982 年 19 巻 6 号 p. 583-587

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抄録

一元放射状免疫拡散法 (SRID) を用いたアポ蛋白A-I, A-II測定法の信頼性について検討した.
ヒト血清より精製したアポ蛋白A-I, A-IIで家兎を免疫して, アポ蛋白A-I, A-IIに対する特異抗血清を作製した. この抗血清を含むアガロースゲル平板を作製し, SRID法によりアポ蛋白A-I, A-IIを定量した. 検体は, 血清よりヘパリン・Mn沈降法により分離した高密度リポ蛋白 (HDL) 分画を用い, 前処置としてテトラメチルウレア (TMU) で脱脂し, Tris-Urea 緩衝液で稀釈した. アガロースゲル平板の試料孔に検体を注入し, 48時間後に沈降輪の直径を二方向に計測した. 標準アポ蛋白A-I, A-IIより求めた検量線に基づいて, 検体濃度を算出した.
前処置のTMUによる脱脂や Tris-Urea 緩衝液による稀釈により, 他の前処置と比較して, 十分に良好な沈降輪の形成が認められた. 試料添加後の測定時間は室温にて48時間で十分であった. 測定の変動係数は許容範囲内と考えられた. これらの測定条件の検討により, SRID法によるアポ蛋白A-I, A-II測定の有用性が確かめられた.

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