日本老年医学会雑誌
Print ISSN : 0300-9173
酸化澱粉硫酸エステルの薬品的研究
第7報 心臓組織: Lipoprotein Lipase 活性に及ぼす多糖類ポリ硫酸エステルの影響について
行方 正也中野 英樹
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1965 年 2 巻 3 号 p. 188-193

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抄録
Heparin を静注すると速やかに血液中に Lipoprotein Lipase が出現するが, 一方ラットの脂肪組織を Heparin の存在下に In Vitro で Incubate すると速やかにメディウム中に Lipoprotein Lipase が遊離することが認められている.
そこで今回著者らはラット心臓組織の Lipoprotein Lipase 活性におよぼす影響を Heparin および In Vivo で Heparin 同様に脂血清澄作用を示した数種の多糖類硫酸エステルについて検討するとともにさらに一連の Oxidized Starch Sulfate を用いて Lipoprotein Lipase 活性に対する多糖類硫酸エステルの分子重合度と硫酸基含量との関係を検討した.
実験方法は Cherks らの方法を参考にした. ラット (呑竜系♂) の心臓を摘出後ただちに冷下スライスまたはホモジエネートを調製しその100mgを検体200μg/ml含有pH 7.4 Krebs-Ringer Phosphate Buffer 中37℃60分 Incubate しその遠沈上清0.5mlに人工リポたんぱく質液 (牛血清アルブミン, 5% Coconut Oil Emulsion および新鮮な血清より成る) 0.5mlを加え37℃30分反応させる. 反応液を5%トリクロル酢酸で除たんぱくしてその滬液につき Lambert-Neish 法によって Glycerol 定量を行なって Lipoprotein Lipase 活性を測定した.
Preincubation 時に諸種の多糖類硫酸エステルを添加して Lipoprotein Lipase 活性化作用を測定し, Heparin の場合を100として比活性を求めた結果は Chondroitin Sulfate=-19, Carrageenin=44, Fucoidin Sulfate=-39, Dextran Sulfate B.P.=41, Dextran Sulfate=70であり, また Oxidized Starch Sulfate I-V (〔η=0.026, S%=3.7, 6.5, 8.0, 10.1, 12.7) はおのおの17, 28, 50, 61および70とほぼS%に比例して活性の増大が認められた.
さらにこれらの活性増大作用には組織からの Lipoprotein Lipase の遊離とともに Lipoprotein Lipase 賦活作用も含まれることがわかった.
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