日本老年医学会雑誌
Print ISSN : 0300-9173
2 巻, 3 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
  • 相澤 豊三, 五島 雄一郎, 若松 英男, 伊藤 清昭, 岡島 重孝
    1965 年2 巻3 号 p. 157-164
    発行日: 1965/08/31
    公開日: 2009/11/24
    ジャーナル フリー
    加令, 動脈硬化において組織ことに結合織における糖たんぱく代謝が主要な役割を果すという観点に立って, われわれは, 加令, 肥満, 動脈硬化の血清糖たんぱく質の測定を行なった.
    対象は, 正常者を若年群35才以下, 中年群36~60才, 高年群61才以上に分け80例, 肥満群は肥満以外に異常のない中年者18例, 動脈硬化群は動脈硬化性眼底を有しECGにST-T変化を認め, 腎機能低下せる者で腎疾患を有しない者81例である. 測定は seromucoid と protein-bound hexose (PBH) は Weimer-Moshin 法, 糖たんぱく分画比は滬紙電気泳動を用いPAS染色を行なった. たんぱく量は Biuret 法, たんぱく分画比は Amido-schwarz 10B を用いた.
    1) seromucoid とPBHの平均値は加令とともに増加を示し, 若年群に比し中年群では有意であるが, 中年群と高年群の差は明らかでない. 糖たんぱく分画比では高年群は若年群に比し, albumin 分画の低下とα1-globulin 分画の上昇を認め, 中年群はその中間を示した.
    2) 中年肥満群では seromucoid とPBHは正常群に比し有意に増加を示しており, 標準体重より算出した肥満度と相関を認めた. 糖たんぱく分画比の変化は明らかではない.
    3) 動脈硬化群において seromucoid とPBHは正常群に比し有意に増加を示したが, 中年動脈硬化群ではPBHの増加が著明であり, 高年動脈硬化群では seromucoid の増加が顕著である. 両群においてα1-globulin 分画の上昇は有意であったが, albumin 分画の低下は中年動脈硬化群にのみ有意を認めた.
    4) seromucoid とPBHは同一個体では朝と昼の測定値はほぼ等量である.
    以上のことから, 肥満では糖たんぱく質は量的変化を主体とするごとくである. 正常者, 動脈硬化で年令によって構成の変化をきたしていることは, 組織の代謝の変化を反映していると思われ興味深い.
  • 加令の影響を中心として
    藤田 拓男, 折茂 肇, 森井 浩世
    1965 年2 巻3 号 p. 165-172
    発行日: 1965/08/31
    公開日: 2009/11/24
    ジャーナル フリー
    71例の剖検例において副甲状腺の組織標本を作成し, 顕微鏡写真から脂肪浸潤の程度, 好酸細胞の占める割合, 主細胞の単位面積内における核の総面積, 総数および平均核面積を計算し, 加令により,脂肪浸潤と好酸細胞の増加と, 核の総面積および平均核面積の低下することを認めた. 大動脈硬化群においても老年者と同様の変化を認め, また収縮期および拡張期血圧の上昇とともに, 総核面積, 総核数および平均核面積は低下することを認めた. 腎疾患においては個々の細胞の肥大の傾向を認め, 老年者においては核の縮小が著明であった. 副甲状腺機能は加令および動脈硬化ことに粥状硬化高血圧の発生と関連を持つことが示唆される.
  • 結核症における肺性心の成因について
    原沢 道美, 村尾 裕史, 吉田 清一, 福島 保喜, 北村 諭, 彦坂 亮一
    1965 年2 巻3 号 p. 173-179
    発行日: 1965/08/31
    公開日: 2009/11/24
    ジャーナル フリー
    老年者肺結核症54例について, 肺循環障害および右心負荷をきたす要因を検索し, 合わせて結核症における肺性心の成因についても検討した. 種々の要因のうち, 肺循環障害および右心負荷に大きな影響を及ぼすものは, 結核病巣の広さ, その経過年数および肺気腫の合併等である. また肺血管の組織学的検索より, 結核病巣およびその近くの肺中小動脈には, 円形細胞の浸潤を伴なった内膜の反応性増殖, 膠原化, 中膜の弾性線維の増殖等により, 消失, 閉塞, および狭小化等の変化が認められた. 以上より肺結核症における右心負荷の成因として, 肺血管床の器質的変化がもっとも重要と思われる.
  • 第6報 酸化澱粉硫酸エステルの脂血清澄作用および実験的動脈硬化症に及ぼす効果
    行方 正也, 中野 英樹
    1965 年2 巻3 号 p. 180-187
    発行日: 1965/08/31
    公開日: 2009/11/24
    ジャーナル フリー
    酸化澱粉硫酸エステルの組成 (主として硫酸基含量と分子重合度) と脂血清澄作用との関係を家兎およびラットを用いて検討した.
    その結果酸化澱粉硫酸エステルの脂血清澄作用はその硫酸基に基因し, 硫酸基含量の増加とともに作用は増強される.
    粘度すなわち分子重合度の作用に及ぼす影響は, 硫酸基含量のそれよりは遙かに少ないが, 脂血清澄作用発現に一定限度の分子重合度を必要とする. 脂血清澄作用発現を目的とした場合の酸化澱粉硫酸エステルの組成として硫酸基含量13~16%,〔η〕0.008~0.015 (分子量として3,000~6,000) が最適と考えられる.
    また高脂血脂家兎に対して血清コレステロール低下作用および実験的動脈硬化症抑制作用をも有することを確認した.
    また血清コレステロール低下作用は脂血清澄因子によるトリグリセライドの分解に伴なって二次的に起こされたものであると推定した.
  • 第7報 心臓組織: Lipoprotein Lipase 活性に及ぼす多糖類ポリ硫酸エステルの影響について
    行方 正也, 中野 英樹
    1965 年2 巻3 号 p. 188-193
    発行日: 1965/08/31
    公開日: 2009/11/24
    ジャーナル フリー
    Heparin を静注すると速やかに血液中に Lipoprotein Lipase が出現するが, 一方ラットの脂肪組織を Heparin の存在下に In Vitro で Incubate すると速やかにメディウム中に Lipoprotein Lipase が遊離することが認められている.
    そこで今回著者らはラット心臓組織の Lipoprotein Lipase 活性におよぼす影響を Heparin および In Vivo で Heparin 同様に脂血清澄作用を示した数種の多糖類硫酸エステルについて検討するとともにさらに一連の Oxidized Starch Sulfate を用いて Lipoprotein Lipase 活性に対する多糖類硫酸エステルの分子重合度と硫酸基含量との関係を検討した.
    実験方法は Cherks らの方法を参考にした. ラット (呑竜系♂) の心臓を摘出後ただちに冷下スライスまたはホモジエネートを調製しその100mgを検体200μg/ml含有pH 7.4 Krebs-Ringer Phosphate Buffer 中37℃60分 Incubate しその遠沈上清0.5mlに人工リポたんぱく質液 (牛血清アルブミン, 5% Coconut Oil Emulsion および新鮮な血清より成る) 0.5mlを加え37℃30分反応させる. 反応液を5%トリクロル酢酸で除たんぱくしてその滬液につき Lambert-Neish 法によって Glycerol 定量を行なって Lipoprotein Lipase 活性を測定した.
    Preincubation 時に諸種の多糖類硫酸エステルを添加して Lipoprotein Lipase 活性化作用を測定し, Heparin の場合を100として比活性を求めた結果は Chondroitin Sulfate=-19, Carrageenin=44, Fucoidin Sulfate=-39, Dextran Sulfate B.P.=41, Dextran Sulfate=70であり, また Oxidized Starch Sulfate I-V (〔η=0.026, S%=3.7, 6.5, 8.0, 10.1, 12.7) はおのおの17, 28, 50, 61および70とほぼS%に比例して活性の増大が認められた.
    さらにこれらの活性増大作用には組織からの Lipoprotein Lipase の遊離とともに Lipoprotein Lipase 賦活作用も含まれることがわかった.
  • 林 四郎, 玉熊 正悦, 山田 義晴, 永木 久允, 上原 健一, 中山 夏太郎
    1965 年2 巻3 号 p. 194-200
    発行日: 1965/08/31
    公開日: 2009/11/24
    ジャーナル フリー
    外科侵襲に伴なって直接損傷を受けた組織を修復させるために, 全身の組織が反応を示し, とくに侵襲早期には筋組織を中心にした内因性組織異化が目立っている. このような事態に対して生体は同化に向かう反応を発動させ, 組織の消耗を補なおうとするが, この反応は肝などを中心にして, 侵襲後早期から予想外に活発に認められる. たんぱく生合成などの鍵にもなっている核酸代謝に関しては, 副腎皮質ホルモンをはじめとした各種ホルモンが核酸代謝回転, 酵素たんぱくの合成に与える影響など, 枚挙に暇がないほど, 多数の研究がここ数年来発表されてきた. しかし外傷, 熱傷, 手術など外科的侵襲がこの核酸代謝にどのような影響を与えているか, まだ詳細な検討が行なわれていない.
    老人では筋肉量の減少など貯蔵たんぱくの減少を推測させる面がいろいろあり, このような老人では核酸代謝がどのような態度をとっているか, 臨床上にも重要な問題である. そこでDDY系雄ハツカネズミを使って熱傷前後に肝, 骨格筋の核酸をSchmidt-Thannhauser 法, Phenol 法によって抽出測定し, さらにリボ核酸への32Pとりこみ, ヒト肝生検による成績などから, 外科的侵襲と肝核酸代謝に関して検討を行なった.
  • 渡辺 定
    1965 年2 巻3 号 p. 201-205
    発行日: 1965/08/31
    公開日: 2009/11/24
    ジャーナル フリー
  • 1965 年2 巻3 号 p. 206-235
    発行日: 1965/08/31
    公開日: 2009/11/24
    ジャーナル フリー
feedback
Top