抄録
同一老年者における, 異なる糖負荷量に対する血糖, IRI及びCPR反応を調べるために, 60歳以上の52例にそれぞれ50gおよび75gGTTの両者を施行し, 糖負荷前, 負荷後30, 60, 120, 180分の血糖, IRIおよびCPRを測定した. 52例中17例は50g GTTにて, 1970年日本糖尿病学会勧告値に従うと正常型又は境界型であり, 35例は糖尿病型であった.
その結果: 1) 糖尿病型群における75gGTT時の2時間値及び3時間値は, 50g時のそれらに比らべ,有意に高値であったが, 非糖尿病型群においては75gGTT時の3時間値のみ, 50g時のそれより有意に高値であった. 2) 非糖尿病型群と糖尿病型群の糖負荷後30分における insulinogenic index (ΔIRI/ΔPG) の間には有意差を認めなかったが, 両群いずれにおいても75g時のΣIRIは50g時のそれに比らべ, 有意な高値を示した. 3) 75g時のΣCPRは50g時のそれらに比らべ, 非糖尿病型群で高値の傾向, 糖尿病型群で有意に高値であった. 4) 両GTT時におけるΣIRIとΣCPRの相関関係を示す回帰方程式はほぼ同一であった. 5) 75g GTT時の血糖値と50g時のそれとの間の回帰方程式から計算すると, 75gGTT 1時間値の200と160mg/dlは50g時でも同じ値を示した. 75g GTT 2時間値の200, 140および120mg/dlは50g時では180, 130および110mg/dlであった. これらの値は1982年糖尿病学会委員会の50gと75gGTTに関する換算勧告値とよく一致した.