日本老年医学会雑誌
Print ISSN : 0300-9173
動脈硬化用剤の生物物理学的検討II
大動脈脈波速度法 (PWV) による Elastase の長期効果
長谷川 元治荒井 親雄竹内 光吉安部 信行福永 良文金海 洋雄高山 吉降岸 良典江森 勇駒沢 勉
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1984 年 21 巻 2 号 p. 115-123

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抄録
動脈硬化の非観血的診断法の一法として著者らは大動脈脈波速度法 (Aortic Pulse Wave Velocity, PWV) を開発し, 脈波発生原理と伝播理論, 定量的組織所見との関連, 臓器動脈硬化分布特性等PWVに関する基礎, 臨床, 疫学の諸問題を検討した上で薬効検定における本法の有用性を立証して来た.
本稿では動脈硬化用剤エラスターゼを対象として長期投与の結果, PWVをパラメーターとする生物物理学的血管機能に有意の改善, 維持効果を認めた.
1. 対照群, 年齢平均67.5歳, 観察期間27~117カ月 (平均63.2カ月) 35例およびエラスターゼ6cap, 10,800ELU/日・投与群, 年齢平均64.8歳, 観察期間31~118カ月 (平均82.4カ月) 50例, 計85例についてPWVを3カ月毎測定し, 両群の推計学的推移から本剤の薬効を検定した.
2. 対照群のPWVは90カ月後8.17m/secから11.47m/secに, 投薬群は100カ月後8.20m/secから9.87m/secに増加したが, 前者の回帰係数0.0367に対し後者は0.0174の低値で推移した. 又観察期間20カ月以後両群のPWVはp<0.05~0.01で有意差を認めた.
3. 投薬群各症例の効果を回帰係数分布から判定すると無効5例 (係数0.0367以上), 稍有効11例(0.0174~0.0367), 有効26例 (0~0.0174), 著効8例 (0以下) となった.
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