日本老年医学会雑誌
Print ISSN : 0300-9173
アルツハイマー型痴呆の精神症状とCT所見
今井 幸充本間 昭長谷川 和夫稲田 陽一
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1984 年 21 巻 2 号 p. 107-114

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抄録
アルツハイマー型痴呆 (AD) と診断された109名を対象に, 随伴する精神症状について検討し, それらと痴呆の程度およびCT上の脳萎縮の程度との関連について研究した. 痴呆の程度の評価は Hughes らの Clinical Dementia Rating (CDR) を用い, 知的機能の評価には, 長谷川式簡易痴呆スケール (HDS) を用いた.
ADに随伴する精神症状の出現頻度をみると, 自発性低下が約半数にみられ, 俳徊, 人格水準低下, 易怒攻撃性が続いた. 痴呆の程度による随伴精神症状の出現頻度は, 軽度痴呆では, 自発性低下, 心気, 抑うつ状態が高く, 高度痴呆では, 俳徊, 人格水準低下, 失禁が高かった.
脳萎縮の評価は, CT scan から脳髄液腔面積比と半値幅の計測を著者らの方法で行い評価した. 数量化I類, II類の分析結果から随伴精神症状と痴呆の程度および脳萎縮の関連をみると, 抑うつ状態は, 軽度の痴呆状態で脳萎縮の程度も軽いADに特徴的な精神症状で, 弄便は, 脳表萎縮が軽度であるにもかかわらず側脳室の拡大が著明な高度痴呆例に特徴的であることが示された. また保続は, 脳表萎縮が著明で側脳室の拡大は比較的軽度な軽度痴呆例に特徴的な症状であった. その他失禁は側脳室の拡大が著明な症例に, 俳徊は脳表萎縮が著明な高度痴呆例に, また妄想は脳表萎縮が軽度な高度痴呆例に, それぞれ比較的特徴的な精神症状であることが示唆された.
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© 社団法人 日本老年医学会
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