抄録
健常老年者では,
1) 機能・器質両面でしだいに劣化する. とくに, 血中アルブミンの変化が著しい.
2) 血中ビタミンB1, B12の変化は余りみられなかった.
3) 血中亜鉛は加齢により減少する. しかし, 老年期では, 加齢の影響よりも, 血中アルブミン, 総コレステロール, ヘモグロビンなどと, 正の相関を示した.
4) 食品の嗜好は若年者と異なり, 和食型を示した.
5) わが国での老年者栄養のバランスは, 総カロリーに注意すれば充分と考える. 嚥下障害を伴う老年者では,
高齢者では, しだいに無症状に近い誤嚥を生じやすい. このことは周期的な誤嚥性肺炎の発症を高める. 高齢者になると, 食事を流動性の多いものに切換えることがのぞましい. 嚥下障害の高度になるにつれて, 人工栄養補給が必要となるが, このさいにも, 経鼻経管栄養が比較的安全で手軽に操作しうる.