日本老年医学会雑誌
Print ISSN : 0300-9173
尿路結石を繰り返した高齢者遺伝性 xanthine 尿症の1症例
苅尾 七臣松尾 武文中尾 一清
著者情報
ジャーナル フリー

1991 年 28 巻 1 号 p. 63-68

詳細
抄録

尿路結石を繰り返し, 低尿酸血症を示した74歳女性を精査したところ, 稀な xanthine 結石を合併した遺伝性 xanthine 尿症であった. 患者は58歳時右腎結石のため腎摘出術を, 71歳時巨大膀胱結石のため膀胱切石術を受けた. 検査所見では腎不全にもかかわらず血清尿酸値は0.3mg/dlと低下していた. 1日尿酸排泄量は1.56mg/日と著明低下, 血中, 尿中 oxypurine (hypoxanthine+xanthine) は高値を示し, 確定診断のため十二指腸粘膜 xanthine oxidase 活性を測定したところ活性を認めなかった. 以前の腎結石は成分分析の結果 xanthine 結石であったが, 現在再び鶏卵大, 楕円形の結石陰影を認める. 家族調査では両親は従兄弟結婚で, 弟の一人に尿中 oxypurine の軽度増加を認め, ヘテロ接合体である可能性が示唆された. 本疾患の高齢者の報告は少ないが, 低尿酸血症を示す場合念頭におく疾患の一つである.

著者関連情報
© 社団法人 日本老年医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top