日本老年医学会雑誌
Print ISSN : 0300-9173
28 巻, 1 号
選択された号の論文の14件中1~14を表示しています
  • 小澤 利男
    1991 年 28 巻 1 号 p. 1-9
    発行日: 1991/01/30
    公開日: 2009/11/24
    ジャーナル フリー
  • 積田 亨
    1991 年 28 巻 1 号 p. 10-12
    発行日: 1991/01/30
    公開日: 2009/11/24
    ジャーナル フリー
    ヒトを含めた多数の生物はそれぞれ固有の寿命を持ち, その一生の後期には多様な老化現象を現す. 基礎老化学の立場から, その多様性の基本にある共通の要因について考えてみたい.
  • 河本 昭子, 島田 和幸, 松林 公蔵, 楠目 修, 近森 大志郎, 木村 茂昭, 斉藤 昇, 小沢 利男
    1991 年 28 巻 1 号 p. 13-17
    発行日: 1991/01/30
    公開日: 2009/11/24
    ジャーナル フリー
    老年早期の60歳代男性を対象に, 最大運動負荷試験により運動耐容能を推定し, 心血管系危険因子である血清脂質, 高血圧, 肥満, 喫煙との関連を検討した. 対象は, 最大運動負荷試験において虚血性変化を示さなかった60歳代男性32名 (平均年齢64±3歳) で, その中にはW. H. O. I, II期の高血圧者が12名含まれた. これらに, トレッドミルによる最大運動負荷試験, 指動脈を用いた10分毎の非観血的24時間血圧測定を行った. 血清脂質は, 総コレステロール, 中性脂肪, 高比重コレステロール, およびアポ蛋白 (A-I, B) を測定した. 最大運動負荷試験における運動耐容時間が10分以上であった14名 (良好群) と, 他の18名 (正常群) を比較した. 良好群は正常群に比し, 外来随時血圧および1日平均血圧はともに有意な低値を示した. 喫煙歴, 体重, Body mass index より求めた肥満度には差はなかった. 血清脂質では, 総コレステロール, 中性脂肪, 高比重コレステロール, およびアポB蛋白は両群間に差はなかったが, アポA-I蛋白は良好群で有意な高値を示し, アポB/A-Iは有意な低値を示した. すなわち, 運動耐容能の優れた早期老年者では, 低い血圧値だけでなく, 血清脂質の面でも動脈硬化の抑制の方向にあることが認められた. この結果は, 老年者においてもなお, physical fitness が血圧値や血清脂質等の心血管系危険因子に影響する可能性を示唆しており, 老年者の循環器疾患の予防に, 運動耐容能の重要性が示唆された.
  • レセプター・オートラジオグラフィー法による検討
    佐藤 博彦, 水川 公直, 小川 紀雄, 浅沼 幹人, 高山 晴彦, 太田 善介
    1991 年 28 巻 1 号 p. 18-23
    発行日: 1991/01/30
    公開日: 2009/11/24
    ジャーナル フリー
    若壮年ラット (SD系, 3カ月齢) と老齢ラット (SD系, 24カ月齢) を用いて, somatostatin レセプター (SS-R) の加齢による変化とそれらに対する塩酸 bifemelane (bifemelane) の慢性投与の効果をレセプター・オートラジオグラフィー法と画像解析装置による定量法を合わせて検討した.
    若壮年ラットにおいてSS-Rは前頭葉, 側頭葉, 帯状回, 海馬, 扁桃核, 中隔野に高濃度に分布していた. しかし老齢ラットでは若壮年ラットに比べてSS-R結合が前頭葉, 側頭葉, 帯状回, 海馬, 扁桃核, 中隔野で著しく減少していた. さらに若壮年ラット, 老齢ラット両群に bifemelane の慢性投与 (15mg/kg BW/日) を施行したところ, 若壮年ラットでは有意な変化は認められなかったにもかかわらず, 老齢ラットでは前頭葉, 側頭葉, 帯状回, 海馬, 中隔野で加齢に伴うSS-R結合の減少がほぼ若壮年ラットのレベルまで有意に増加した. このような加齢に伴い減少したSS-R結合の bifemelane の慢性投与による増加は, bifemelane の治療効果発現の機序の少なくとも一部を成しているものと推定される.
  • 甲谷 憲治
    1991 年 28 巻 1 号 p. 24-28
    発行日: 1991/01/30
    公開日: 2009/11/24
    ジャーナル フリー
    老, 若ラットを用いてサイロキシン投与による機能亢進時の心筋ミトコンドリアの超微形態像の変化を, 年齢および心筋部位の差を中心として検討した. 未投与対照群においてミトコンドリアの断面積は, 心尖部に比し左心室中央部で大きく, その差は若群では有意であった (p<0.05). 形状係数は老群では若群に比し左心室中央部で有意に低値を示し (p<0.01), ミトコンドリアの形状は老群において形状が不規則であった. 一定視野内のミトコンドリア断面数は若群に比し老群で減少がみられた. サイロキシン投与によりミトコンドリア断面積の大きさは, 若群では心尖部, 左心室中央部ともに増加の傾向を示したが, 老群の左心室中央部では変化がみられなかった. Mt/Mf比は, 若群では左心室中央部, 心尖部とも変化がみられないが, 老群では左心室中央部, 心尖部でともに有意な増加がみられた (p<0.05, p<0.01). 以上の結果からミトコンドリアの形態像ならびにサイロキシン投与による反応が, 心筋の部位によって若干の興味ある差を示すとともに, 老ラットでは若ラットに比し, 心筋ミトコンドリアの機能の予備力が低下していることが示唆された.
  • 塚崎 富雄, 蔵本 築, 小田 修爾, 上田 清悟, 松下 哲
    1991 年 28 巻 1 号 p. 29-33
    発行日: 1991/01/30
    公開日: 2009/11/24
    ジャーナル フリー
    老年者の心脳卒中を脳卒中症状で発症した心筋梗塞と定義し, その発症要因を臨床病理学的に検討した. 昭和47年以降の当院連続剖検4,167例中, 脳卒中様症状で発症した急性心筋梗塞は, 30例 (男: 15例, 女: 15例, 平均年齢80.3歳) であった. 脳の主病巣の性状で塞栓群, 血栓群, 出血群, 脳粗大病変のない群の4群に分類し, 臨床所見, 合併症, 病理所見を比較検討した. 脳病変の内訳は, 塞栓群17例 (56%), 血栓群9例 (30%), 脳出血群2例 (7%), 脳粗大病変のない群は, わずか2例 (7%) であった. 臨床症状は意識障害: 83%, 発作時血圧上昇のみられない症例: 67例, 片麻痺: 43%が多く見られ, 胸痛は17%と低値を示した. また, 心筋梗塞と診断し得たものは53%にすぎなかった. 基礎疾患, 合併症は, 高血圧15例 (56%), 心房細動14例 (47%), 播種性血管内凝固症候群 (DIC) 12例 (40%), 腎不全7例 (23%), 悪性腫瘍5例 (17%), 糖尿病4例 (13%) であり, 心房細動, DICの合併は血栓群に比し有意に塞栓群で大であった. また, 左心内壁在血栓, 非細菌性血栓性心内膜炎 (NBTE) も, 有意に塞栓群で高頻度に認めた. 脳動脈硬化は, 塞栓群で軽度の症例が12例 (71%) であるのに対し, 血栓群では, 中等度以上9例 (100%) であり, 塞栓群で有意に軽度であった. 冠狭窄指数も塞栓群10.3, 血栓群13.1と有意に塞栓群で小であった. 従って心脳卒中の脳病変は脳塞栓によることが多く, その原因として心房細動, NBTE, DIC, 左心内壁在血栓の関与が大であると考えられ, 脳粗大病変のないものは比較的少ないことが示された.
  • 宮 敬子, 森本 茂人, 福尾 恵介, 今中 俊爾, 白石 恒人, 山本 秀樹, 北野 昇一, 宮下 善行, 井上 卓夫, 廣谷 淳, 荻原 ...
    1991 年 28 巻 1 号 p. 34-39
    発行日: 1991/01/30
    公開日: 2009/11/24
    ジャーナル フリー
    老年期痴呆へのカルシウム関連因子の関与を検討した. 長谷川式簡易痴呆評価スケールの得点により, 老年女性60例を非痴呆群 (得点22.0~32.5点, 18例) と痴呆群 (得点0~21.5点, 42例)に分類した. さらに痴呆群は Rosen らの虚血スコアにより, 負のスコアを示す Alzheimer 型痴呆群 (22例) と正のスコアを示す脳血管性痴呆群 (20例) に分類した. これら3群間には, 平均年齢, 血清クレアチニン値に有意差を認めなかった. Alzheimer 型痴呆群では, 非痴呆群に比し, 血清Ca値の有意 (p<0.01) の低下, 尿中クレアチニン補正カルシウム値の有意 (p<0.01) の上昇, 血清C端副甲状腺ホルモン値の有意 (p<0.05) の上昇を認めた. また Alzheimer 型と痴呆群, 非痴呆群とを合わせた群において, 長谷川式簡易痴呆評価スケールの得点と, 尿中クレアチニン補正カルシウム値とは有意の負の相関(r=-0.38, p<0.05) を, 血清C端副甲状腺ホルモン値とは有意 (r=-0.49, p<0.05) の負の相関を, さらに血清1,25-ジヒドロキシビタミンDとは有意 (r=0.31, p<0.05) の正の相関を認めた. 一方, 脳血管性痴呆群では, 非痴呆群と比較して, 上記の有意差を認めなかったが, 脳血管性痴呆群と非痴呆群を合わせた群において, 長谷川式簡易痴呆評価スケールの得点と血清カルシトニン値とは有意 (r=0.40, p<0.05) の正の相関を認めた. これらの結果から Alzheimer 型痴呆と脳血管性痴呆にカルシウム代謝異常が存在し, Alzheimer 型痴呆の病態に血清カルシウム低値, 血中副甲状腺ホルモン高値, 血中1,25-ジヒドロキシビタミンD低値, 尿中カルシウム排泄増加が関与している可能性があり, 脳血管性痴呆の病態に血中カルシトニン低値が関与している可能性が考えられた. つまり, 補正血清カルシウム値が, 非痴呆群, Alzheimer 型痴呆群, 脳血管性痴呆群の3群間に有意差がないにもかかわらず, これらのカルシウム調節因子の変化を認めたことより痴呆には特異なカルシウム代謝異常の存在する可能性があることが示唆された.
  • 冠動脈撮影所見との対比
    大内 尉義, 寺下 謙三, 中村 哲郎, 山沖 和秀, 矢崎 義雄, 遠田 栄一, 山口 徹, 折茂 肇
    1991 年 28 巻 1 号 p. 40-45
    発行日: 1991/01/30
    公開日: 2009/11/24
    ジャーナル フリー
    大動脈壁の硬さの非観血的測定法として大動脈脈波速度法 (PWV) が用いられており, PWV値は動脈硬化の臨床的な指標の一つとして注目されている. そこで, 我々は, PWV値が冠動脈硬化の存在および重症度とどのように関連するかを検討するために, 冠動脈撮影 (CAG) を行った105例 (男性84例, 58±1歳; 女性21例, 59±0.2歳) につきCAG所見とPWV値とを対比した. CAGは, 狭窄病変を有する冠動脈分枝数により正常群 (N群), 一枝病変群 (1VD群), 二枝病変群 (2VD群), 三枝病変群 (3VD群) に分類し, また American Heart Association による冠動脈の15区域において, それぞれの狭窄の程度に応じて, 0~4の5段階に評価しその合計をCAGの重症度スコア (CAGスコア) としPWV値と比較した. N群 (n=18; 53±2歳) では, PWV値は8.0±0.34m/sec, 冠動脈に狭窄病変を有する群 (n=87; 60±0.9歳) では8.9±0.20m/secと両群に有意差を認めなかった. 1VD, 2VD, 3VD群の各々のPWV値をN群と比較すると3VD群 (n=10; 63±3.6歳) ではPWV値10.0±0.88m/secとN群に比し有意に高値を示したが他の群間には有意な差を認めなかった. PWV値とCAGスコアとの単相関をみると, r=0.267と有意の (p<0.01) の正の相関を認めたが, 年齢の因子を加え重回帰分析を行うと両者の間には有意の相関を認めなかった. PWV値と年齢の間には既に指摘されているような有意の正の相関 (p<0.05) を認めた. 以上の結果から, PWV値は大動脈の加齢変化とよく相関するが, 冠動脈狭窄病変の有無および重症度とは相関しないと考えられた.
  • 小池 昇
    1991 年 28 巻 1 号 p. 46-51
    発行日: 1991/01/30
    公開日: 2009/11/24
    ジャーナル フリー
    老年者では体腔液細胞診で最初に悪性診断を決定することがまれならず見られる. その詳細を明らかにするため, 過去10年間の体腔液細胞診陽性例を剖検結果, 臨床記録とあわせ検討した. 臨床的に悪性診断が体腔液細胞診により初めて確定した症例は, 全陽性例中46% (胸水48%, 腹水46%, 心嚢水0%) に見られ, またこの割合は高年齢群ほど増加の傾向が見られた. 陽性例の病理学的背景は以下の通りであった. 胸水では主たる原発臓器は肺で, 組織型は腺癌が多いが小細胞癌, 扁平上皮癌などもある程度見られた. 腹水では原発臓器は胃, 胆嚢, 膵臓, 卵巣など多彩であるが, 組織型は大部分が腺癌であった. 体腔液細胞診が確定診断となった例では, 胸水では肺の大細胞癌, 小細胞癌, 腹水では膵, 卵巣, 胆嚢を原発巣とする腺癌に頻度が高かった.
  • 荻原 雅之, 青木 久三, 宮川 浩一, 信田 高明, 新美 達司, 山本 俊幸, 鈴木 孝弘, 山本 正彦
    1991 年 28 巻 1 号 p. 52-57
    発行日: 1991/01/30
    公開日: 2009/11/24
    ジャーナル フリー
    老年者580剖検例に認めた貫壁性の急性心筋梗塞64例は, 急性梗塞巣のみの初発梗塞35例と, 陳旧性梗塞巣を伴った再発梗塞29例であった. 病理解剖死因は, おもに心不全, 心破裂, 肺炎などであった. 心破裂は再発梗塞より初発梗塞に多く (p<0.01), 心不全および肺炎は両者間で有意差がなかった.
    梗塞発症前の心電図では, 虚血性ST-T変化が初発梗塞の57%と多く, また異常Q波を再発梗塞の52%に, 正常心電図を21%に認めた. 異常Q波は大梗塞 (長径4cm以上の陳旧性梗塞) に, 非Q波は小梗塞 (1cm未満) に高頻度であった (p<0.01). 新鮮梗塞巣と陳旧性梗塞巣の位置関係から再発梗塞を異部, 同部, および異同部梗塞群に分類した. これら三群の頻度はほぼ同じであった. 異部梗塞群を新鮮梗塞巣と陳旧性梗塞巣の位置関係から隣接, 対側および隣対梗塞群の三群に分類すると対側または隣対梗塞群の頻度が高かった (p<0.05およびp<0.01). 急性梗塞死亡例では, 陳旧性梗塞巣の対側部に発症した再発梗塞に, 梗塞死は生じやすい.
  • 久保井 礼, 木田 厚瑞, 水内 知子, 神野 悟, 桂 秀樹, 平塚 知子
    1991 年 28 巻 1 号 p. 58-62
    発行日: 1991/01/30
    公開日: 2009/11/24
    ジャーナル フリー
    甲状腺機能低下症に伴う低換気性呼吸不全を反復した老年女性症例について報告した. 症例は76歳女性. 主訴は呼吸困難および意識障害. 動脈血ガス上, 高度の低酸素血症および高炭酸ガス血症を認め, 炎症所見も高値であった. 甲状腺機能検査上, 血清T3, T4低値, TSH高値であり, 原発性甲状腺機能低下症の状態に気道感染が加わりII型呼吸不全に至ったと考えられた. 甲状腺ホルモン剤投与, 酸素療法, 抗生物質投与により全身状態は改善. しかし, 治療中断後に同様の機作による呼吸不全の再発をみた. 甲状腺機能は呼吸機能とも密接な関係がある. 説明のつかない呼吸不全の患者では甲状腺機能低下症をも鑑別の対象とする必要がある.
  • 苅尾 七臣, 松尾 武文, 中尾 一清
    1991 年 28 巻 1 号 p. 63-68
    発行日: 1991/01/30
    公開日: 2009/11/24
    ジャーナル フリー
    尿路結石を繰り返し, 低尿酸血症を示した74歳女性を精査したところ, 稀な xanthine 結石を合併した遺伝性 xanthine 尿症であった. 患者は58歳時右腎結石のため腎摘出術を, 71歳時巨大膀胱結石のため膀胱切石術を受けた. 検査所見では腎不全にもかかわらず血清尿酸値は0.3mg/dlと低下していた. 1日尿酸排泄量は1.56mg/日と著明低下, 血中, 尿中 oxypurine (hypoxanthine+xanthine) は高値を示し, 確定診断のため十二指腸粘膜 xanthine oxidase 活性を測定したところ活性を認めなかった. 以前の腎結石は成分分析の結果 xanthine 結石であったが, 現在再び鶏卵大, 楕円形の結石陰影を認める. 家族調査では両親は従兄弟結婚で, 弟の一人に尿中 oxypurine の軽度増加を認め, ヘテロ接合体である可能性が示唆された. 本疾患の高齢者の報告は少ないが, 低尿酸血症を示す場合念頭におく疾患の一つである.
  • 1991 年 28 巻 1 号 p. 69-108
    発行日: 1991/01/30
    公開日: 2009/11/24
    ジャーナル フリー
  • 1991 年 28 巻 1 号 p. 109-121
    発行日: 1991/01/30
    公開日: 2009/11/24
    ジャーナル フリー
feedback
Top