日本老年医学会雑誌
Print ISSN : 0300-9173
高齢入院患者の疾病状態・障害・入院生活と老年期への満足感との関係について
高橋 龍太郎奥川 幸子
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1991 年 28 巻 4 号 p. 515-519

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抄録

種々の疾病をもって入院した高齢者のQOL (Quality of Life) を検討するために東京都老人医療センターに入院中の高齢患者を対象に面談調査を行った. QOLに大きく関わる老年期に対する満足感を探る目的で調査項目の一つ「老年期に入って良かったことはあるか否か」という質問への回答を従属変数とし, 基本属性や, 身体的・心理的条件を説明変数として数量化理論II類を用いた多変量解析を行った. 18項目のアイテムについてデータの揃った49例を検討した結果, アイテム全体の影響を示す相関比 (η2) は0.353と良好であり, 判別の的中率は全体として77.6%であった. レンジ, 偏相関係数の高い年齢とADLという二つのアイテムについてみてみると, 年齢については高齢群ほど老年期に対して肯定的であり, また, ADLについては一部介助群より自立群の方が肯定的に答えた. 更に, 疾病の予後もレンジの大きさに強く影響した. これらのことは老年期に対する満足感が年齢や疾病・障害の程度によって規定されていることを示している.

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