1992 年 29 巻 1 号 p. 24-28
若齢ラット (Fischer 系, 3カ月齢) と老齢ラット (Fischer 系, 24カ月齢) を用いて, ムスカリン性アセチルコリンレセプター (mACh-R) の加齢による変化とそれらに対する Lisuride hydrogen maleate (以下 lisuride) の慢性投与の効果をレセプター・オートラジオグラフィー法と画像解析装置による定量法を組合わせて検討した.
老齢ラットでは若齢ラットに比べmACh-Rは前頭葉, 線条体, 側坐核と扁桃核で著しく減少していた. 老齢ラット群に lisuride の慢性投与 (0.05mg/kg/日, 14日間) を施行したところ, 上記脳部位および頭頂葉で加齢に伴うmACh-R結合の減少がほぼ若齢ラットのレベルまで有意に増加した. このような加齢に伴い減少したmACh-R結合の lisuride の慢性投与による増加は, lisuride の治療効果発現の基本をなしているものと推定される.