日本老年医学会雑誌
Print ISSN : 0300-9173
血圧の食塩感受性に及ぼす加齢の影響
長内 智宏金沢 武道横野 良樹上村 継道奥口 知行小野寺 庚午
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キーワード: 加齢, 食塩感受性, レニン
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1993 年 30 巻 1 号 p. 30-34

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抄録

血圧の食塩感受性と加齢との関係について検討した. 未治療の本態性高血圧症患者88例を年齢により, a) 40歳未満 (20例), b) 40~49歳 (20例), c) 50~59歳 (37例), d) 60歳以上 (11例) に分類し, 食塩2g/日から23g/日への増塩に対する血圧, 血漿レニン活性 (PRA), 血中アルドステロン濃度 (PAC), 血漿ノルエピネフリン濃度 (PNE), ならびに血漿エピネフリン濃度 (PE) の反応性を比較した. 成績: 1) 増塩に対する平均血圧の変化率は40歳未満に比べて他の3群で大であった. また, 増塩により平均血圧が5%以上低下した症例は40歳未満で5例, 50~59歳で1例認められた. 血圧の食塩感受性と年齢との間には正相関 (r=0.30, p<0.01) が認められた. 2) 増塩によるPRAの低下値は加齢と共に減少し, 負の相関関係 (r=-0.35, p<0.05) が認められた. 3) PACとPNEは増塩により低下したが, 加齢の影響を受けなかった. 4) PEはいずれの群においても, 増塩で変化しなかった. 結語: 本態性高血圧症患者における食塩負荷に対する昇圧反応性は, 加齢と共に増大し, この機序にレニン-アンジオテンシン系の関与が推測された.

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