1994 年 31 巻 11 号 p. 865-871
PIXE法 (荷電粒子励起X線法) により正常対照例25例, パーキンソン病未治療例13例および治療例7例の血清中微量元素 (Br, Cu, Fe, Mg, Se, Zn), 髄液中微量元素 (Br, Cu, Fe, Mg, Zn) 濃度を分析し, 血清中濃度と髄液中濃度の相関, 加齢変化, パーキンソン病における変化を検討した.
正常対照例における各微量元素の血清中濃度と髄液中濃度の相関の検討では, Br, Cu, Feで有意な正の相関を認め, Znでも正の相関傾向を認めた. 正常対照例における加齢変化の検討では, 血清中Cu濃度は加齢と正の相関傾向を示し, 血清Cu/Zn比は加齢とともに有意に増加した. またBrの髄液中濃度/血清中濃度比は加齢とともに有意に増加した. パーキンソン病未治療例および治療例において髄液中Mg濃度は正常対照例に比して有意に低下していた. その他の血清および髄液中微量元素濃度では有意な変化は認めなかった.