日本老年医学会雑誌
Print ISSN : 0300-9173
75歳以上の高齢者における Mallory-Weiss 症候群の臨床的検討
とくに内視鏡検査時に発症したと思われる症例を中心に
北川 隆高野 英哉相馬 光宏武藤 英二武田 章三
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1994 年 31 巻 5 号 p. 374-379

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抄録

Mallory-Weiss 症候群は上部消化管出血の原因として重要視されている. その好発年齢は30~50歳代であるが, 時には高齢者にもみられる. 今回, 75歳以上を高齢者とした場合の Mallory-Weiss 症候群症例の臨床的特徴について検討した.
最近の5年間に当院で経験した Mallory-Weiss 症候群症例は48例で, そのうち高齢者は9例19%であった. 裂創の発生原因は4例が嘔気・嘔吐によるものであり, 5例は内視鏡検査中に軽度の嘔吐反射を伴う程度か, またはほとんど嘔吐反射を伴わずに裂創をきたしたものである.
その5例についてみると, 裂創の部位・数・形はいずれも胃噴門部小彎・1条・紡錐形を呈し, 出血量も軽度であった. 5例とも体格的に痩せ型で, 3例に慢性萎縮性胃炎の所見を認めたことから, 粘膜の脆弱性は高度と思われ, これらは過度の送気が加わった場合に本症を引き起こす重要な要因と考えられる.

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