抄録
69歳, 女性. 7カ月前からの次第に進行する両下肢の知覚障害の精査目的で入院. 入院後数日の間に両下肢麻痺, 排尿障害及び左半身麻痺が認められ, 腰髄と頸髄あるいは脳内の病変の重複が疑われた. 頭部CT検査では異常は認められなかったが, 頭部MRI T2強調像にて脳室周囲と基底核周囲に多数の小梗塞巣が認められた. さらに脳脊髄液中で免疫グロブリンGとインターロイキン6が増加していた. これらに加えて, 理学的所見並びに他の検査成績から, 中枢神経ループスと診断した. 直ちにプレドニゾロンを投与したところ, 神経症状は2カ月間で著明に改善した. 以上よりMRIと脳脊髄液の検査は中枢神経ループスの診断と治療に有用と考えられた.