日本老年医学会雑誌
Print ISSN : 0300-9173
血漿 Endothelin-1値における加齢の影響について
小松本 悟奈良 昌治
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1995 年 32 巻 10 号 p. 664-669

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抄録
Endothelin-1 (ET-1) は, 内皮依存性血管収縮物質で, 種々の病態に関与していることが明らかとなっている. そこで, 内皮細胞より産生される血漿ET-1が, 加齢に関連してどの様に変化するかについて検討した. 対象は人間ドックに入院した正常健康成人74名 (男性61名, 女性13名) である.
男性について, 年齢 (X) と血漿ET-1 (Y) の関係は, 有意な相関関係を示し, Y=0.088574X+0.06363 (γ=0.65894, p<0.05) であった. 年齢が増加するに従い, 血漿ET-1は増加した.
女性についても, 年齢 (X) と血漿ET-1 (Y) の間には, 正の相関があり, Y=0.163091X-4.23 (γ=0.762, p<0.002) を示した.
加齢により内皮細胞に形態学的変化が起き, 機能的にも変調をきたし, ET・1産生過程が亢進した可能性がある. 今回の成績を総合すると, 血中ET-1の上昇は, 血管内皮障害・内皮の機能異常と相互に関係し合い, 加齢に伴い種々の病態に密接に関与している可能性が示唆された.
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© 社団法人 日本老年医学会
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