日本老年医学会雑誌
Print ISSN : 0300-9173
老年糖尿病患者の糖尿病負担感の規定要因
荒木 厚出雲 祐二井上 潤一郎高橋 龍太郎高梨 薫手島 睦久矢富 直美冷水 豊井藤 英喜
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1995 年 32 巻 12 号 p. 797-803

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抄録

前報において老年糖尿病患者383例の家庭訪問によるQOLの面接アンケート調査より糖尿病総合負担度スケールを作成した. 本報では, 老年糖尿病患者の糖尿病負担感を規定する要因を明らかにする目的で, 糖尿病総合負担度と身体的, 社会的, 心理的因子との関連について検討した. 糖尿病負担度は, 食事療法, 経口剤治療, インスリン治療の順で大きくなり, また網膜症, 神経障害を有する群でも大きくなった. さらに, 糖尿病負担度は, HbA1c高値, ADL低下と有意の関連を示した. 社会的因子ではポジティブ社会サポート, ネットワーク, 余暇活動が増えるほど糖尿病負担度が小さくなり, ネガティブ社会サポートが増えるとそれは大きくなった. 重回帰分析の結果, 低年齢, 女性, ADL低下, HbA1c高値, インスリン治療, ポジティブ社会サポートの低下, ネガティブ社会サポートの存在, 経済的余裕度のないこと, および糖尿病適応感の低下が糖尿病負担感の増加を説明する独立した因子であることが明らかとなった.

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