日本老年医学会雑誌
Print ISSN : 0300-9173
Cost of Care Index を用いた老年患者の介護負担度の検討
溝口 環飯島 節新野 直明折茂 肇
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1995 年 32 巻 6 号 p. 403-409

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抄録

高齢人口の増加とともに, 機能障害を有する者が増加し, それに関わる家族の介護負担の増加が指摘されている. その負担の程度や内容を評価することは, 介護法を改善し負担を軽減する上で重要である. そこで, 我々は介護者の負担感を半定量的に評価する指標, Cost of Care Index (CCI) を導入し, その信頼性と妥当性を検討した.
アルツハイマー型痴呆25例, 脳血管性痴呆2例, 脳血管障害3例, パーキンソン病2例, その他10例,男性19例, 女性23例, 平均年齢76.5±7.7歳に対し知的機能および日常生活動作を評価し, その主たる介護者に対し精神状態の評価およびCCIによる調査を行った. CCIは20項目 (五分野) の質問からなり, 負担の程度を4段階に分けそのうちから一つを選択させた.
CCIの信頼性については, 再テスト法の相関係数0.83, Cronbach のα係数0.92と高い信頼性が確認された. 妥当性については, 被介護者と介護者の状態との関連を検討した. すなわちCCI総得点と Activities of daily living-20 (ADL-20) 得点の相関係数-0.48 (p<0.01), Dementia Behavior Disturbance Scale (DBD) 得点との相関係数0.46 (p<0.01), 介護者 Self-rating depression scale (SDS) 得点との相関係数0.36 (p<0.05) と, CCI総得点と患者の日常生活動作と行動障害および介護者の精神状態との相関は良好であった. また分野別得点と各評価法との相関も良好であった.
老年者を介護している家族が現在または将来受けるであろう影響や困難を分析する上でCCIは高い信頼性と妥当性を有すると考えられる.

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