日本老年医学会雑誌
Print ISSN : 0300-9173
寝たきり患者の血圧に及ぼす温浴効果の検討
川本 龍一岡本 憲省山田 明弘小国 孝
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キーワード: 入浴, 寝たきり患者, 血圧, 脈拍
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1998 年 35 巻 4 号 p. 299-302

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抄録

安定した寝たきり患者に対する入浴の効果を検討するために, 町立野村病院内科入院中の寝たきり患者10名 (男性5名, 女性5名, 年齢78.9±10.5歳) を対象に入浴前後の血圧, 脈拍, 内分泌環境, さらに出浴後24時間の血圧と脈拍について検討した. その結果, 血圧は入浴により一過性に上昇し, 出浴後は急速に低下した. その後の24時間効果については入浴日は非入浴日と比べると, 収縮期血圧では12~16時間 (p<0.005) で有意に低く, 拡張期血圧でも同様に8~12時間 (p<0.01), 12~16時間 (p<0.001), 20~24時間 (p<0.001) で有意に低かった. 脈拍については入浴後0~4時間で有意に高かったが (p<0.01), 8~12時間 (p<0.001) と12~16時間 (p<0.001) では有意に低かった. また入浴前後で血漿レニン活性の有意な上昇を認めた (p<0.05). 以上, 入浴により交感神経刺激を介して一過性に血圧は上昇するものの出浴後は急速に低下し, その効果は数時間にわたり持続することが示唆された.

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