高齢脳血管障害患者199例を対象として認知障害がリハビリテーション後の退院先に与える影響を検討した. 自宅退院群に比べて長期的ケア施設転院群は入院中ADL (起居移動動作の自立度) が低く, 失禁も多く, 機能障害指標 (Brunnstrom ステージ) も低値であった. これら起居移動動作も含め年齢, リハビリテーション期間, および認知機能評価結果を説明変数, 退院先を目的変数として重回帰分析を行ったところ, 年齢がより高いこと, 起居移動動作の自立度が高いこと, に加えて Wechsler Adult Intelligence Scale (WAIS)・動作性IQあるいは Kohs 立方体組合せテストIQの高いことが自宅退院の有意な要因であった. 年齢や起居移動動作に加え, 非言語的判断力・構成能力のような認知機能が保たれていることも自宅退院と関連することを示唆している.