2000 年 37 巻 3 号 p. 182-187
細胞内カルシウム・シグナルは, 脳機能, 循環, 内分泌・外分泌, 代謝, 免疫, 受精・発生など重要な生体機能に関与するとともに, これに関連した病態も知られている. カルシウム濃度は細胞内で一様に上昇することもあれば, カルシウム・ウエーブ/オシレーションといった複雑な時間的・空間的パターンをとる. このようなカルシウム・シグナル・パターンの複雑さが, 機能の多様性を生み出しているものと考えられ, これを実現する分子機構が明らかにされつつある.