日本老年医学会雑誌
Print ISSN : 0300-9173
酸化LDLと動脈硬化
久米 典昭
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2001 年 38 巻 4 号 p. 447-451

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抄録

血中LDLの増加が, 粥状動脈硬化の極めて強力な危険因子であることはよく認知されるに至ったが, その分子機構については未だ不明な点も多い. この15年間ほどの研究により血管壁内にうっ滞したLDLが酸化変性を受けることがその成因であることを示唆する研究成果が報告されてきた. 酸化LDLは特にマクロファージにおいて細胞内でのコレステロールの蓄積を引き起こすのみならず, 催炎症性の変化をもたらすなどで, 動脈硬化の進展, プラークの破綻を惹起していると考えられる. 酸化LDLに対する受容体はすでに複数の分子が同定され, その性質などが明らかにされてきている. 抗酸化剤のヒト動脈硬化に対する治療効果などはさらに検討すべき点も多い.

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