日本老年医学会雑誌
Print ISSN : 0300-9173
高齢者糖尿病のインスリン治療
永田 正男
著者情報
ジャーナル フリー

2001 年 38 巻 4 号 p. 452-454

詳細
抄録

高齢糖尿病患者に対するインスリン注射による血糖コントロールは, 日常の診療の上, 意外に少なくない. インスリン治療は, 報告の増加している高齢発症1型糖尿病の絶対的適応に加えて, SU剤二次無効例が多いものと思われる. 高齢者のインスリン自己注射あるいは自己血糖測定はやや複雑な操作を伴うため, 自己管理が困難な事例も多いのではないかと危惧される. 高齢糖尿病患者に薬剤コンプライアンスに対するアンケート調査を行った結果から, 高齢者インスリン治療の問題点を明らかになった. また, SU剤二次無効例にはブドウ糖毒性によるインスリン分泌不全と抵抗性によるものが多く含まれており, 短期のインスリン治療により経口剤への切り替えが可能である. 一方で, インスリンの絶対的欠乏を示す1型糖尿病に対するインスリン治療は若年者と同様に厳格なインスリン治療を必要とする.

著者関連情報
© 社団法人 日本老年医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top