日本老年医学会雑誌
Print ISSN : 0300-9173
老年者呼吸器疾患における急性増悪の早期診断法の開発
気管支喘息を中心にして
大類 孝山谷 睦雄山田 紀広冲永 壯治矢内 勝佐々木 英忠
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2001 年 38 巻 4 号 p. 484-486

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抄録

気管支喘息の新しい早期診断法を確立するために, 気管支喘息の患者 (未治療群30名, 吸入ステロイド治療群30名) および健常人 (非喫煙群30名, 喫煙群20名) を対象として, single-deep-breath 法によって, 呼気中の一酸化炭素 (CO) 濃度を測定した. その結果, 未治療の気管支喘息患者では, 5.6 (平均) ±0.6 (標準誤差) ppmと健常人の1.5±0.1ppmに比して有意な上昇を認めた (p<0.001, n=30). また, 気管支喘息患者の呼気中CO濃度は吸入ステロイド剤のベクロメサゾン (800μg/day) の4週間の治療により正常化することが確認され, 疾患の活動性の指標となり得ることが明らかにされた. また, 呼気中のCO濃度は, 喘息患者の喀痰中の好酸球数と正の相関を示すこと, さらに一秒率と逆相関することが明らかにされた. 本法は, 高齢者や比較的重症患者においても, ベットサイドで非侵襲的に施行でき, 今後日常の診療に十分に活用されるものと考えられる.

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