日本老年医学会雑誌
Print ISSN : 0300-9173
脳アミロイドアンギオパチーの発症要因に関する研究
山田 正仁
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2001 年 38 巻 4 号 p. 487-488

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抄録

脳アミロイドアンギオパチー (CAA) の発症要因を解明することを目的に, アルツハイマー病 (AD) やアミロイドβ蛋白沈着との関連が報告されているアポリポ蛋白E (APOE), プレセニリン-1 (PS-1), α1-アンチキモトリプシン (ACT), ブチリルコリンエステラーゼ (BChE), α2-マクログロブリン遺伝子 (A2M) 多型とCAAとの関連を分子遺伝学的に検討した. ADの危険因子である. APOEε4アリルがCAAのリスクでもあることが米国で報告されているが, 日本人高齢者においてはε4とCAAとの直接的な関連は明らかではなかった. 一方, PS-1遺伝子多型とCAAの間には有意な関連があり, PS-1 2/2多型がCAAが低リスクであることと関連していた. また, ACT遺伝子多型が, ADにおけるCAAの程度と有意に関連していた. BChEおよびA2M遺伝子多型はCAAと関連しなかった. 本研究により, CAAがPS-1およびACT遺伝子多型と関連することが示唆された.

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© 社団法人 日本老年医学会
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