抄録
症例は67歳, 男性. 2000年4月23日に持続式携帯型腹膜透析法 (以下CAPDと略す) 関連腹膜炎と診断し当院へ入院した. 抗生剤等の保存的治療で様子をみていたが改善せず, 4月28日に腹膜透析カテーテルを抜去した. その後症状は落ちついたが, CRP陽性は持続した. また, カテーテル抜去前のCAPD排液から2種類の菌が検出された. 腸管の形態異常も考え, 5月23日に注腸造影を施行した. S状結腸の狭窄と憩室を認めた. 同日より発熱, 翌日より腹痛が出現した. その後も改善せず5月29日腹部骨盤部造影CTにてダグラス窩に膿瘍を認めた. S状結腸憩室穿孔から腹腔内膿瘍を併発したと診断し, 同日S状結腸部分切除・膿瘍摘出術を行った.
近年, 末期腎不全の患者が増加しており, 生活の質を高めるため血液透析ではなく腹膜透析を選択される患者も多い. そのため合併症に対する対策もさらに必要となってきた. 高齢者では重篤な所見があっても症状が出現しにくいこともあるため, CAPD関連腹膜炎患者において炎症反応や症状が遷延する場合は穿孔性腹膜炎, 腹腔内膿瘍を念頭においてみていく必要がある.