日本老年医学会雑誌
Print ISSN : 0300-9173
高齢発症の mitochondrial neuromyopathy の1例
本淨 貴絵三森 康世森野 豊之片山 禎夫中村 重信
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2002 年 39 巻 3 号 p. 318-321

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抄録
入院時68歳の女性. 主訴は両手指, 両足底, 臀部の違和感. 66歳時左第1趾の異常感覚で発症し次第に広がった. 発症1年でクレアチンキナーゼ, 乳酸脱水素酵素の高値が明らかとなったが, 骨格筋障害を考えさせる臨床症候は認めなかった. 神経伝導検査で異常なく, 針筋電図にて四肢に軽度の筋原性変化, 筋肉CTにて体幹, 大殿筋, 大腿二頭筋にて脂肪変性, 大腿二頭筋に筋萎縮を認めた. 上腕二頭筋の筋生検にて, HE染色は筋線維の大小不同, Cytochrome coxidase 染色にて部分欠損, Gomori trichrome 染色にて ragged-red fibers, Neuron specific enorase 染色にて軽度の脱神経線維を認め, ミトコンドリア異常の存在を疑った. ミトコンドリア遺伝子検索を行い, PCR product は8.5Kb短いミトコンドリアDNAを認め, mitochondrial neuromyopathy と診断した. 老化によりミトコンドリアDNAの異常は増加する. 本例は孤発型 chronic progressive external ophthalmoplegia (CPEO) とは臨床像は異なっており, 老化によるミトコンドリアDNA異常の増強も加わって, 症状が出現した可能性がある. ミトコンドリア病の表現型は極めて多様であり, 近年中年以降発症のミトコンドリア病も報告されるようになってきており, 高齢者においても考慮すべき疾患である.
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