抄録
高齢者糖尿病といってもその臨床像についてはかなりの多様性があり, コントロール目標の設定のためにも個々の患者において臨床的多様性をアセスメントしておく必要がある. この高齢者糖尿病の臨床的多様性を検討するために, 今回3つの側面 (過去, 現在, 将来) から, 我々の外来ならびに関連病院の外来患者の臨床データを解析した. まず,「過去」の側面として, 罹病期間と高血糖のレベルに注目して検討した. その結果, 特に罹病期間については著しい個人差があり, 合併症の進行度についても大きな多様性を認めた. 次に「現在」の側面として, 個々の患者における糖尿病の病態としてインスリン分泌能と抵抗性の二つの因子を検討したところ, 加齢によるインスリン抵抗性の悪化をベースにインスリン分泌障害の著明な個人差が認められ, 大きな多様性が存在することが示された. 最後に「将来」の側面として, 現年齢が多様であることから予命の長さも多様であるが, 合併する脳・心・腎疾患により予後が大きく左右されることに留意が必要と考えられた. 以上より高齢糖尿病患者を3つの側面 (過去, 現在, 将来) についてアセスメントすると, 非常に臨床的多様性に富むことが示された. 各患者について3つの側面より評価を行い, 治療目標の設定に反映させることが高齢者糖尿病のマネージメントに際して重要となること考えられた.