抄録
骨粗鬆症は高齢者のQOLを低下させる大きな要因となり, 未病の段階で発症を抑えるために, その予防と早期診断が望まれる. 21世紀を迎えヒトの全ゲノム情報が解読され, 新しい時代に入った. 個人差を決める遺伝子の多様性としてSNP (単一ヌクレオチド多型) が注目され, この解析が, 疾患の診断, 予測に活用できることが想定される. モデル生物, 疾患モデル動物は, 骨粗鬆症の病因, 治療法を解明するのに大変役立つが, 究極的には, ヒトの疾患における遺伝解析, 機能解析が特に重要な情報をもたらす可能性が高い. 今後, 骨粗鬆症の未病における, ゲノム医学の応用が, 一層重要な役割を演ずるようになっていくと考えられる.