日本老年医学会雑誌
Print ISSN : 0300-9173
高齢者の生活習慣はどこまで是正すべきか (Pro)
下方 浩史
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キーワード: 生活習慣, 老年病, 予防, 栄養, 喫煙
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2006 年 43 巻 4 号 p. 462-464

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抄録

健康長寿を目指すためには生活習慣の改善が最も重要である. 喫煙や飲酒のコントロール, 肥満防止, 栄養改善, 運動習慣などの生活習慣の改善は, 寝たきりを防止して健康寿命を延ばしていくためには不可欠である. 生活習慣の是正は小児期から必要であり, 青年期, 中年期から老年期まで, 生涯にわたって必要であるが, ライフステージごとに方法や目標は異なる. 75歳以上の後期高齢者では肥満よりも痩せの危険が高いことを認識し栄養指導を行うことが必要である. 喫煙による循環器疾患や呼吸器疾患への影響としては急性の不整脈の誘発や, 末梢血管の収縮, 気道への刺激などもあり, 禁煙は高齢者でも有用と考えられる. また代謝予備力が落ちているために飲酒量も減らすことが望ましい. 運動習慣は高齢者の身体活動能力を維持するだけでなく, 代謝機能を高め, 鬱を予防するなど心身の健康維持に重要であり, 運動教室などを利用して積極的な介入を行っていくべきであろう.

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