日本老年医学会雑誌
Print ISSN : 0300-9173
毛髪の年齢的変化に関する研究 (I)
引張り強度とヤング率について
成瀬 信子小川 安朗藤田 拓男折茂 肇大畑 雅洋岡野 一年吉川 政己
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1968 年 5 巻 6 号 p. 487-490

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抄録

2才から91才にいたる81人の健康男子の毛髪を5才ごとに区切り, 各群5人を選び, 1人5本の試料について, 洗浄後, 蒸留水で十分湿潤し, テンシロンIII型万能引張り試験器で切断荷重, 切断伸長率, 切断仕事量および立ち上りのヤング率を測定した. 毛髪の直径は60~140μの間に分布し, 15才前後をピークとして, 以後加齢とともに漸減の傾向を示し, 二次曲線, または, 15才ごろまでは上昇以後下降する2本の直線の合成として表現される. 年齢と切断荷重, 年齢と切断仕事量の推移もほぼ同様である. これに反し, ヤング率は, 20才ごろまでは減少し, 以後加齢とともに徐々に上昇する二次曲線への回帰が統計的に有意である. 加齢の指標の一つとして, 毛髪の物理的性状の研究は有用である.

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© 社団法人 日本老年医学会
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