日本老年医学会雑誌
Print ISSN : 0300-9173
133Xe Clearance 法による局所脳血流測定上の Geometry の問題について
沢田 徹
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1970 年 7 巻 1-2 号 p. 60-72

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抄録
近年, 各種の臨床的な局所脳血流測定法が紹介されているが, その基礎的な方法論的検討は充分行なわれているとは云えない現状である. そこで現在最も広く利用されている不活性放射性同位元素の内頸動脈注入法に関して, 133Xeを用い主として測定領域の geometry の問題を中心とした検討を加え, 以下のごとき結果を得た.
1) 使用する collimator の大きさ, 形状によって頭蓋内の133Xeに対する等感度曲線の分布が異なり, 小口径 tapered 型のものが最も局所性が高いことが認められた.
2) 同一部位で collimator を代えて反復測定した場合, 平均局所脳血量fはある程度の相関を示すが, 急速相ff, 緩徐相fsは一定の相関関係を示さなかった. 局所性のもっとも高いと予想される小口径 tapered 型の collimator を用いた場合, 円柱型あるいは open 型の collimator を用いた場合よりもffの灌流領域重量比wfが大きい傾向が認められた.
3) 同一 clearance curve について, compartmental analysis と stochastic analysis の両者を併用して計算した場合, 疾患の如何にかかわらず, 両者の計算値は比較的よく一致していた.
4) 同一症例について, 133Xe clearance 法とN2O法とを併用し, 局所脳血流量と全脳平均血流量を測定したが, 全脳平均的血流量とffとはある程度の相関を示しており, ffの大小が全脳平均血流にある程度反映されているものと考えられた.
5) 脳血管障害例では, 非脳血管障害例に比して, 平均局所脳血流の低下が認められたが, ff, fsには両群間に有意の差を認めず, これは脳血管障害群におけるwfの有意の減少を反映しているものと考えられた.
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