抄録
Estrogen の骨粗鬆症に対する予防効果を検討するためにラットにおいて右下肢をギプス固定することにより実験的 immobilization osteoporosis を作成し同時に結合型 estrogen を投与し大腿骨X線像, 骨皮質幅, 骨内Ca含量および脛骨内 collagen 含量の測定を行った. 実験は生後6週後および生後6ヵ月の Wistar 系雌ラットを用い生後6ヵ月の群ではさらに卵巣摘除の影響についても検討を行った. まず生後6週のラットにおいては4週間の右足ギプス固定により右大腿骨密度, 骨皮質幅, Ca含量および右脛骨内 collagne 含量の著明な減少が認められたが, これらの減少は結合型 estrogen の同時投与により有意に抑制された. 次に生後6ヵ月のラットにおいては8週間の右足ギプス固定によるも右大腿骨および脛骨には対照群のそれと有意の変化が認められなかった. しかし卵巣摘除を行うと同期間のギプス固定により大腿骨密度, 骨皮質幅, Ca含量, 脛骨内 collagen 含量は対照群に比して有意に減少しさらに又 estrogen の防止効果も有意に認められた. 以上の事実は外因性 estrogen がラットにおける immobilization osteoporosis を防止する作用のあること, さらにまた内因性 estrogen が immobilization osteoporosis の発生を防止している可能性を示すものである.