遺伝学雑誌
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CYTOLOGICAL STUDIES ON THE INFLUENCE OF LOW TEMPERATURE UPON THE POLLEN FORMATION IN DISPORUM SESSILE
Fumio WASHIASHI
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1935 年 11 巻 2 号 p. 60-67

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抄録
本報告は Disporum sessile D. Don. (2n=16) に人工的に與へたる低温が花粉粒の形成に及ぼす影響を報告す。材料植物の花粉母細胞の減數分裂を觀察し, 第一分裂中期或は early anaphase の時期にある株を, 此の植物の花粉母細胞の減數分裂の時期に遭遇する可能性ある7°Cの低温にて處理せり。
觀察は總て Belling's iron-aceto-carmine を用ひ, 生材料又は Carnoy's solution にて固定せるものに就て行へり。
此の植物の花粉母細胞の減數分裂は常温に於ては正常なる分裂をなすも, 低温の影響を受くる時は其の核分裂は種々の障害を受け, 染色體は著しく不規則の行動を取り終局に於て生じたる花粉粒に甚しき大小の差を生じその染色體に就きても異常を見る。今其の觀察結果を摘記すれば次の如し。
1. 低温は D. sessile 減數分裂を著しく不規則ならしめ屡々 restitution nucleus 及び dyad cell を生ず。
2. 低温により生ぜる一巨大花粉粒中には倍加せる染色體數を數へたり。此等の染色體は形態及大きさより見て haploid set の duplication をなす。かかる花粉粒が正常卵と結合すれば autotriploid plant を生ずること可能なり。
3. 1及2より此の植物の autotriploid form が晩春の不時の降霜又は降雪等による不自然なる低温に基き生ぜるものなるべしとの推論に實驗的根據を與ふることを得たり。
4. 低温の影響に依り其の染色體の種類を明かにせる二箇の extra chromosome が haploid 附加せられて含まるる一花粉粒を觀察せり。若しも此の花粉粒が正常卵と結合すれば double set に trisomic plant が作られ得べし。
5. 或る花粉粒に於ては染色體の constriction point に於て切斷せられて生ぜる一片が haploid set と共に含まる。
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© The Genetics Society of Japan
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